売却準備・オーナー向け
初めてのSaaS事業売却で準備しておきたいこと
「そろそろサービスを誰かに引き継いでもらった方が良いかもしれない」と思っても、 何から手を付ければ良いか分からず、そのまま時間だけが過ぎてしまうことがあります。 本記事では、初めてSaaS事業の売却を検討するオーナー向けに、事前に準備しておくとスムーズになるポイントをまとめました。
1. 売却を考える理由を、自分の言葉で整理する
最初に整理しておきたいのは、「なぜ売却を検討しているのか」です。これは金額よりも重要な情報で、 買い手が「どのように引き継げば良いか」を考えるうえでの出発点になります。
- 時間が足りず、新機能開発や改善に手が回らない
- 本業との両立が難しくなってきた
- 技術負債が重く、これ以上1人で抱え続けるのが不安
- 別の事業に集中したいため、きちんと畳みたい・託したい
理由を言語化しておくと、「どんな買い手に託すのが良いか」「どこまで関わり続けたいか」も自然と見えてきます。
2. 売上・顧客・解約のシンプルな「数字のメモ」を作る
きれいな資料でなくても構いませんが、最低限の数字がすぐに出てくる状態にしておくと、初回相談や打ち合わせがとてもスムーズになります。
- 月次売上(直近12ヶ月分くらい)
- 顧客数・主要プラン別の契約数
- 大口顧客の有無と、その売上比率
- 解約件数・解約率のざっくりしたイメージ
Excelやスプレッドシート、メモツールなど、形式は問いません。「自分で見て状況が分かる」程度の整理ができていれば十分なスタートになります。
3. 技術・運用の現状を、等身大で書き出してみる
技術的な状況や運用の実態も、「良いところ」と「課題」をセットで書き出しておくと、買い手との対話がしやすくなります。 完璧である必要はなく、むしろ正直な情報の方が信頼につながります。
- 主要な技術スタック(フロント・バックエンド・インフラ)
- テストの有無・どの程度書かれているかの感覚
- 障害対応や問い合わせ対応の実態(頻度・負荷感)
- 「ここが不安」「ここは気に入っている」と感じているポイント
技術負債がある場合も、「どこが負債だと思っているか」「どこまでなら自分でも直せそうか」といった感覚を書いておくと、技術DDを行う側にとっても参考になります。
4. 売却後の関わり方のイメージを持っておく
小規模SaaSのM&Aでは、「売って終わり」ではなく、一定期間関わり続ける形もよくあります。あらかじめ、 どの程度関わる意欲があるかを自分の中で整理しておくと、条件の議論がしやすくなります。
- 移行期間中は、どの程度時間を割けそうか(週◯時間など)
- 新オーナーの開発者に、どこまで技術的な引き継ぎを行えるか
- 顧客向けの告知やサポートに、どの程度関わりたいか
これらは、必ずしも最初から固める必要はありませんが、「全く関わらない前提なのか」「一定期間は伴走できるのか」のイメージがあるだけでも、候補となる買い手の幅が変わってきます。
「完璧な準備」より「素直な情報」を
初めての事業売却では、 完璧な資料を作ろうとして手が止まってしまうことがあります。 実務的には、完璧でなくても、素直に現状を共有してもらう方がずっと進めやすいというのが正直なところです。
ライチョウテックパートナーズでは、 小規模SaaSや個人開発サービスのオーナーと一緒に現状を整理しながら、 売却の可能性や進め方を検討するところから伴走しています。 「売れる状態なのか分からない」「何から話せば良いか不安」という段階でも、お気軽にご相談ください。